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玄関ドアのデザインと機能性について

玄関ドアは家の顔とも言える重要な部分であり、デザインと機能性を兼ね備えることが求められます。近年の玄関ドアは、美観だけでなく、断熱性、遮音性、防犯性などの機能も高まっています。高品質な材料の使用や技術の進化により、デザイン性と機能性が高まっています。例として、ガラス部分には断熱・遮音ガラスを使用したり、ドアのフレームには防犯性を高めたりするための強化材を導入するなどの工夫が見られます。今回は玄関ドアについてお話します。

引戸と開き戸のメリット

玄関の出入口に設けられる建具には金属製、木製などがありますが、開き勝手による大別もあります。横にスライドする引戸、前後に開閉軌道をもつ開き戸に分けられます。

引戸のメリット

  • スペース効率
    開け閉めする際に、横にスライドするので前後に干渉が生じる懸念がなく、内部や外部のスペースを取らないため、狭い場所でも設置が可能です。引手がドア面から突出している場合には引手と壁の干渉を避けるため、また手を詰めてしまうことを避けるために設ける引き残し寸法を考慮した有効開口寸法が必要とされる開口寸法であるかを確認する必要があります。

  • 開閉のスムーズさ
    レールをスライドするだけなので、開閉がスムーズです。また、戸先、戸尻に勢いよくぶつからないようにするソフトクローズという機能がある引戸を選ぶことで開閉の衝撃や騒音を回避できます。

開き戸のメリット

  • 強度      しっかりとした構造のため、防犯性や耐久性に優れています。
  • シーリング性  ドアと枠がしっかり密着するため、断熱性や遮音性に優れています。

防犯性に配慮した鍵システム

近年、防犯技術が進化し、多くの鍵システムが開発されています。

  • ディンプルキー    従来型の鍵に比べ、複製が難しい構造を持つ鍵。
  • 電子ロック      パスワードやICカード、指紋認証などを使って解錠するシステム。
  • ワンタイムキー    一度だけ使用できるコードを用いる鍵。特定の時間や日にだけアクセスを許可することができる。
  • 連動アラーム機能   鍵が強制的に開けられた場合、アラームが鳴るシステム。

これらのシステムを適切に選び、組み合わせることで、より高い防犯性を実現することができます。

非接触による解錠ができる玄関ドアについて

近年、テクノロジーの進化に伴い、非接触での解錠が可能な玄関ドアが注目されています。この技術は、手を触れずにドアを開けることができるため、手軽さや衛生面での利点があります。非接触解錠の主なメカニズムには、次のようなものがあります。

RFID技術 : RFIDタグを持つキーカードや専用のデバイスをドアのセンサーに近づけるだけで、認証され、解錠するシステムです。

  1. RFIDタグ

    • このタグには、データ(例えば製品情報や固有の識別コードなど)が保存されています。
    • アクティブ(電源を内蔵)とパッシブ(リーダーからの信号で動作)の2つのタイプがあります。
  2. RFIDリーダー

    • タグからの信号を読み取るデバイス。
    • 通常はタグに電力を供給するとともに、タグの情報を読み取り、その情報を他のシステムに伝える役割を持ちます。

RFIDは「Radio Frequency Identification」の略で、直訳すると「無線周波数による識別」を意味します。これは、物体を識別・追跡するための技術の一つです。 RFID技術は様々な産業やシステムで広く利用されており、建築以外でも製品の在庫管理、物流、無線の料金収受システムなど、多岐にわたる用途で活用されています。 この技術が玄関ドアの施錠システムに用いられることで、従来の鍵を持ち歩く必要がなく、また物理的な鍵の紛失や盗難のリスクを減少させる利点があります。さらに、特定の人物や時間帯にのみ解錠を許可する設定も可能で、セキュリティのカスタマイズが容易です。しかし、電池の消耗やシステムの故障などのデメリットも考慮する必要があります。非接触解錠の技術を選択する際は、利便性と、システムが少し複雑になることでの管理の必要性をバランスを良く考えることが大切です。 住宅の玄関ドアだけでなく、事務所、店舗の入り口、そして裏口、様々な出入り口に同じように応用することができる機能ですので参考になれば幸いです。

最後にデザイン性に富んだドアのご紹介

1. Higgins Hall

Higgins Hallは、ニューヨーク市のブルックリンに位置するプラット・インスティテュート(Pratt Institute)と呼ばれる学校のキャンパス内にある建築物です。Higgins Hallは建築学部のための建物として使われています。Higgins Hallはもともと19世紀後半に建てられましたが、2005年に大規模なリノベーションと拡張が行われました。このリノベーションの際に、有名な建築家スティーブン・ホール(Steven Holl)が中央部分のデザインを手がけました。エントランスドアのフレームとファサードが一体感があるようにデザインされています。また、内部の扉はヒンジをドア面の中央よりに設けることでちょっと変わった開き方をみることができます。この建築学部で学ぶ学生さんのデザインセンスも刺激されそうですね。

2.Almondine Bakery

Almondine Bakery は、こちらもニューヨーク市のブルックリンにあるベーカリー&ケーキショップです。建物は古い倉庫のようですがレンガの趣ある建物にマッチする渋い色に塗装されたスチールフレームのドアです。ベーカリーらしく取手がパン!こういう遊び心があるデザインも素敵ですね。このお店のクロワッサンとキッシュがおいしかったという補足情報も追加させていただきます。

玄関、エントランスドアは建物の顔です。ときに、いつも温かく迎えてくれるような顔、ときに、旅先で出会った感動を受け止めてくれる顔といえるドア。やはりデザインが素晴らしいドアや引戸は愛着を感じたり何年たっても思い出に残ったりします。そんな建物の顔となる大切な要素ですのでドアのデザインはとても重要といえるでしょう。

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