住宅のファミリールームは家族の絆を深める集いの場所として機能し、共有活動やリラクゼーションのための空間を提供することで、住む人の精神的な満足感を高めます。一方、事務所などの多目的室は、効率的な仕事の流れやチームワークの促進を実現するための柔軟な環境を作り出し、創造性と生産性の向上を期待させます。これらの空間は、それぞれの活動において機能性と快適性を融合させ、日々の生活や業務において重要な役割を果たします。今回はファミリールーム、多目的室のデザインについてお話いたします。
さて、ファミリールームや多目的室の用途としてはどのようなものが考えられるでしょうか。
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卓球台を置いて家族、友人と楽しむ
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ビリヤードをおいて家族、友人仲間と楽しむ
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ホームシアターとして映画鑑賞をする
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グランドピアノをおいて練習や演奏会を開催する
上記のようなものでなくても、集まり、語らうソファとテーブルがあれば多目的室となりえるでしょう。そしてそれらは個人の生活の質を高めたり、家族や仕事仲間とのコミュニケーションスペースとすることができるのではないでしょうか。
では例えば道具や設備などでスペースを必要とする場合、それぞれについて、どのくらいの広さが必要でしょうか。
卓球台を1台置く場合

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必要な面積
卓球台の標準的なサイズは2.74m x 1.525mです。しかし、プレイスペースとして安全に動き回るためには、それぞれの側に最低でも1.5m以上のスペースが必要です。したがって、合計約5m x 4mのスペースが望ましいです。 -
配慮すべき点
床材はすべりにくいものを選び、照明は均一に明るくすること。また、卓球ボールが跳ね返る場合のための壁面の保護も考慮すると良いです。家族友人と楽しみながらする場合、休憩、語らいのための椅子を置くスペースや道具の収納スペースも考慮すると良いでしょう。
ビリヤードをする場合

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必要な面積
ビリヤード台のサイズは様々ですが、一般的な9フィートのテーブルの場合、実際のプレイスペースとしては約5m x 4mが必要です。 -
配慮すべき点
均一な照明、十分な空間を持ってキューを振ることができること、床はキューやボールに傷がつきにくい材質を選ぶことです。ビリヤードは卓球のように俊敏な動きが必要なことはあまりないので、床の仕上げ材を柔らかいカーペットタイルとすることで傷の防止だけでなく、吸音効果も向上します。
ホームシアターとする場合

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必要な面積
部屋のサイズは観る人数や使用する機器によりますが、小さなホームシアターであれば4m x 6m程度から考慮すると良いです。 -
配慮すべき点
音響効果を最大化するための適切な壁材、天井材の選択。遮光カーテンや照明の調整、テーブル、ソファのサイズや座席配置、画面サイズとの距離感も重要です。
グランドピアノを置く場合

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必要な面積
グランドピアノのサイズはモデルによって異なりますが、中型のものを置く場合、最低でも5m x 3mのスペースが必要です。 -
配慮すべき点
ピアノの音質や調律を保つためには、室内の湿度と温度を一定に保つことが重要です。また、床は固くて平坦な材質を選ぶことも重要です。ピアノの下にはマットや支えを設置して、振動や音の伝わりを適切にすることも必要です。また、重量がありますので床の補強など構造的な計画も必要となります。そして、実は大切なのは搬入経路です。ピアノは非常に繊細な楽器ですので無理なく搬入できるよう出入口と経路といった全体計画に及ぶ配慮が必要です。
いかがでしたでしょうか。今回紹介しました用途やスペースは一例ですので、具体的な状況や要望に応じて調整が必要となります。最適な設計を目指すためにはぜひ、理想のファミリールーム、多目的室を実現するために設計時にご相談ください。
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