住宅の設計をしていて、広さを説明する際に平米数をいうより何畳というほうが伝わりやすいと感じることがあります。それは畳が敷かれた和室が生活の中にあったり、洋室でも広さを示す単位として畳数が使われているからだと思います。実は畳のサイズは、主に地域によって多少異なります。なので同じ6畳でも地域が変われば厳密には広さが変わることがあります。今回はそんな畳、畳数についてご紹介いたします。
1.実は大きさが違う!畳の種類について
主に、京間(きょうま)、江戸間(えどま)、中京間(ちゅうきょうま)などがあります。それぞれのサイズをご紹介します。
1.京間(きょうま)
これは西日本で主に使用される畳で、大きさは一般的に6尺(約191cm)× 3尺(約95.5cm)です。たとえば6畳の部屋の面積としては10.94㎡。
2.江戸間(えどま)または関東間(かんとうま)
これは東日本で主に使用され、サイズは6尺(約176cm)× 3尺(約88cm)です。こちらも6畳の部屋でいいますと面積は9.27㎡。
3.中京間(ちゅうきょうま)
これは中部地方で見られ、サイズは6尺(約182cm)×3 尺(約91cm)です。6畳の部屋の面積は9.93㎡。
4.団地間(だんちま)
これは公団住宅で採用されている畳で、サイズは170㎝x 85cmです。6畳の部屋の面積は8.67㎡となります。
これらを比較すると京間が一番大きく、団地間が最も小さいことがわかりますね。同じ6畳でもそれらの差として2.27㎡も違うことになります。 畳数は目安として部屋の広さをイメージしやすいという利点がありますが、京間の感覚でいた方が、団地間に引っ越しをしたというケースでは体感的に狭く感じるかもしれません。京間の畳の1枚分が1.82㎡ですので実際、2.27㎡の面積差というのは京間畳の1枚分以上の差があることになります。感覚値だけでなく、家具やカーペットなどの配置に影響を与えることにもなりますので、畳数だけでの判断ではなく、何平米なのか、部屋の隅から隅までの内寸はどれくらいなのか、という確認をすることをお勧めします。
2.なぜ畳のサイズに違いがあるのか?
どうして先ほどご紹介したように畳のサイズに違いが生じたのでしょうか。それは、諸説ありますが歴史的、文化的な要因などによって生じているといわれています。 日本の畳は古くから存在し、畳の形状やサイズは地域ごとに様々な特徴がありました。これらの違いは、歴史と地域ごとの生活様式、建築様式の違いから来ているといわれています。
歴史的背景
畳のサイズは長辺が一間(いっけん)という尺貫法での表現がされます。この一間の大きさが時代によって変化してきたことに由来する説があります。かの有名な織田信長の時代、安土桃山時代には一間が6尺5寸であり、豊臣秀吉の時代には6尺3寸、そして徳川家康の時代になると6尺0寸とされたといわれています。一間がだんだん小さくなってきていますね。この変遷の中で畳のサイズが変わったり、古来の長さを継続したりといった対応の違いが畳のサイズに種類が生じるようになったという理由として考えられています。なお、明治時代に一間は6尺(1.82m)と定められ、現在、在来工法と呼ばれる木造建築の基準として用いられています。
文化的背景
京間:関西では古来、畳一枚の大きさに合わせて柱を立てていく畳割りという考え方が一般的でした。畳サイズが基本単位としてあったわけです。その畳が収まるように柱や壁の位置が決められていました。
江戸間・関東間: 関東地方では、柱と柱の間が一間になるように住宅が建てられ、その内寸に収まるように畳が収められる建築手法が一般的でした。そのため畳のサイズは小さくなったと考えられています。
社会的背景
戦後の住宅供給政策や高度経済成長期には多くの住宅を供給する必要があり、合理性、経済性が重視されました。そのような背景を理由に団地間の畳のサイズが比較的小さいサイズとして定められたといわれています。
このように、歴史や各地域文化の違いが、畳のサイズの違いを生んだと考えられています。最近ではこれらの標準サイズ以外にも、部屋の形状や利用者の要望に合わせてカスタムサイズの畳が作られることもあります。現在の一般的な住宅では地域による畳サイズの違いは大きくはないと思われますが、もし、地方への旅行などで伝統的な建築の旅館やお寺の畳座敷を訪れるなどの機会があれば、畳のサイズを測ってその地域の歴史や文化を感じてみるといった楽しみもあるかもしれません。