ビルペリメーターゾーン

 ペリメーターゾーンとは?

ペリメーターゾーンとは、建物が外部に隣接する部分、壁や窓周辺の空間を指します。このゾーンは、日射や熱気、冷気など外部からの熱の影響を受けやすく、空調の効率や熱の損失・獲得を考慮した設計が求められるため、特別な注意が必要です。今回はペリメーターゾーンの紹介と考慮すべき重要な点をご紹介します。

ペリメーターゾーンのイメージ

ペリメーターとは英語の Perimeter であり、境界、外周といった意味からきています。冒頭に建物が外部に隣接する部分と紹介しましたが、外壁付近や窓際だけでなく屋根直下、外気に接する床の直上も含まれます。ゾーンとはどこまでなのか、という疑問が浮かびますが一つの指標としてこのペリメーターゾーンを環境負荷の指標として扱っているものにPAL*(パルスターと読みます。)があります。PAL*についてはまたいつか別の機会にご紹介したいと思いますが、この指標によると境界から水平に5mのゾーンといわれています。図にするとこのような形です。

ペリメーターゾーンイメージ図

計画におけるポイント

ペリメーターゾーンに該当する屋根の直下部分、外気に接する床部分、壁面、窓面を建築物の外皮とも表します。この外皮部分について次に挙げる点について考慮するポイントがあります。

遮熱

外皮の遮熱性を十分に検討することが重要です。遮熱の方法としては庇やルーバーを設けたり、壁面屋上緑化を設けるなどの手法があります。また、遮熱性の高い塗料を用いて屋根材や壁材を塗装したり、熱線反射ガラスを用いた窓を検討することも重要です。

断熱

外皮の断熱性を確保するために適切に断熱材を選択し、施工することが重要です。Low-Eガラスを用いた複層サッシ、地域によってはトリプルサッシなどの導入も大きな効果があるでしょう。

換気

オフィスビルや商業ビルなど非住宅建築物ではダブルスキンの手法をとり、ペリメーターゾーンの一部を換気スペースとして空気を流し、特に夏の日射から受けた熱による温められた空気を建物全体に波及させないよう窓や換気扇により屋外へ排出する計画をとることも有効です。ダブルスキンとすることができなくても熱負荷の大きいペリメーターゾーンの天井などに換気扇を設ける工夫で外部の熱負荷の影響を緩和することが可能です。

ペリメーターゾーンとは外部からの影響を受けやすい部分であり、それらの負荷を建物全体へ影響させないよう工夫する必要がある部分です。別の言い方をすれば、主たる居住域 (活動域) を外部の負荷から守る緩衝帯として機能する重要なエリアとも言えるでしょう。PAL*での定義による水平距離5mというほど奥行きはありませんが、日本の住宅にある縁側もペリメーターゾーンとしてイメージしやすい部分ではないでしょうか。昔ながらの住宅は最新の住宅ほど外皮性能が高くないことが難点ですが、それでも実はペリメーターゾーンという言葉で表される以前から、自然環境からの負荷に対する方策を日本建築は取り入れていたといえるのではないでしょうか。建築技術や材料性能が向上した今では一層、このペリメーターゾーンの計画に留意することで建物全体を良好な空間とすることができるでしょう。

縁側

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