働き方改革、自由な働き方、リモートワークなど近年一層、働き方が重視されるようになったと感じます。仕事をするのにまずオフィスに出社するのが当たり前、ではなくなったといえるのではないでしょうか。働くために最適な環境を整え、整えられた複数の選択肢から選び、その結果、効率よく快適に仕事を行うことを理想とする考え方や働き方が広く浸透していると思います。そしてそれを可能にする空間づくりが働く環境のデザインに求められるようになってきました。今回は働く環境のデザインキーワードとしてアクティビティベーストワーキング (ABW)についてご紹介します。
1. 概要
ABWはオフィスビルやそれ以外の場所も含めた広義の、”働く環境”において働く人たちが仕事を行うのに最も適した場所や方法で働くことを重視する働き方のコンセプトです。オフィス内でさまざまなアクティビティ領域やワークスペースを提供し、それぞれの仕事に応じて最適な場所を選んで業務にあたることを促します。
2. メリット
- 柔軟性: 働く人たちが各自の業務に最適な場所を選択できるため、生産性や満足度が向上します。この場所とはオフィス内に限らず、自宅や出先のカフェやシェアオフィス空間なども選択肢に含まれることがあります。どこまでを含むかはABWに取り組む組織が計画を立てる中でそれぞれ必要に応じて決められます。
- 交流、協働のチャンス: オープンなワークスペースや共有スペースがコラボレーションを促進します。例えばオフィス内でフリーアドレス制を導入し、自由な席で業務にあたる中で、それまで関わりのなかった人や部署との交流が生まれ、新しいアイデアが誕生するなどの効果が期待されます。
- スペース効率: 固定デスクの割合が少なくなる、またはなくなることで、オフィスの使用スペースを最適化することができます。例えば外回り業務により日中空席のままのスペースがあればその分を社内での業務用スペースに割合を充てることで生産スペースを増やすことにつながるでしょう。また、外回り業務を行うことは働く場所は社内の固定席に限らない、ということの最たる例ですがこの働き方においても社外、社内と二分するだけでなく例えばシェアオフィスと提携することで最寄りの仕事スペースを利用できたり、自宅を拠点に直行直帰、事務作業は自宅でも可能としたりすることがABWの考え方の下では手法として挙げられます。
3. 注意点
- プライバシーに配慮した計画の難易度が上がる: オープンなワークスペースは、個人のプライバシーを確保するのが難しいことがあります。例えばクライアントに関する守秘義務の厳守はコンプライアンスの面でも非常に重要です。個人専用のデスクであればデスクに付随する収納スぺースでパソコンや書類を保管、管理することが容易であった点に比べ、共有スペースが業務場所となるとプライバシー確保に十分な配慮と工夫が必要となります。
- 不確実性: 日々のワークスペースの確保が保障されないため、働く人たちの中には不確実性を感じる人もいるかもしれません。このような例では社内共有システムにおいて席や室の空きを確認したり予約ができるようにするなどのシステムを構築し、空間とIOT技術の連携が求められます。
このようにABWは働く人たちの環境を柔軟に、最適にしようとする考え方、働き方です。建物、空間を整えるだけでは達成されず、情報技術との連携や働く人の自主性も必要となります。 組織のニーズやそこで働く人たちの働き方に応じてABWのための取り組みが組織ごとに適切に計画、実行、調整されることでより働きやすい環境を実現させるものとなることでしょう。
