ダブルスキンとは、建築分野におけるファサードの設計技術の一つで、二重の外壁層を持つ構造を指します。今回はダブルスキンの設計の目的や機能についてご紹介します。
1. 熱負荷を遮断するため
ダブルスキンとして間隔を設け、空気層とすることで、外部からの熱の侵入や内部からの熱の逸失を低減させ、室内の温度を安定させます。空気は熱伝導率 (熱の伝えやすさ) が低く、コンクリートが1.1〜1.4W/m・Kであるのに対し、空気は0.02W/m・Kという値といわれています。コンクリートよりも少なくとも50倍、熱くなったり冷たくなったりしにくいということを表します。望ましくない熱負荷から室内を守りたい場合、有効な遮熱層となるのです。
2.音響絶縁性
二重の外壁が外部の騒音の減少を助ける効果があります。オフィスビルでは静粛性が求められます。特に大通りや繁華街に面した立地の場合、外部の音が執務空間や会議室に影響を及ぼさないよう配慮する必要があります。そこでダブルスキンの手法を採用することで音への問題を緩和することができるでしょう。
3. 換気
中間の空気層を利用して、自然換気の経路として機能させることができます。これにより、建物内部の空気の質を向上させることができます。特に夏季には温められた空気は上へ移動する性質を利用し、上方に開口部を設けることで熱の放出を図ることが可能となります。自然換気だけでなく、機械による換気を採用する場合は一層安定した換気量を確保することができるでしょう。
4.太陽光の制御
ダブルスキンとしたスペースに遮光装置としてルーバーを設置することで、直接的な太陽光の侵入を制御し、室内の快適性を向上させることができます。直射日光はまぶしさを感じることで建物の利用において不快になる場合があります。また、室内を温めすぎてしまうことで空調の負担が増えてしまうことになり、環境負荷、運用コストの増大といった望ましくない影響が生じてしまいます。さらには内装材の日焼けも懸念され、早期に改装が必要となってしまいかねません。内装材や家具一つをとっても、長く使い続けることが環境負荷の低減に寄与しますので適度な太陽光の制御は重要といえるでしょう。
ダブルスキンの設計は、エネルギー効率、室内の快適性の観点から、多くの現代の建築物で採用されています。 ダブルスキンの設計事例をご紹介します。
1.東京国際フォーラム
東京都千代田区に位置するこの施設は、建築家ラファエル・ヴィニオリの設計によるものです。ガラスと鉄の複雑な構造が特徴的で、ダブルスキンの採用により遮音性の確保が図られています。
2. 横浜市旧市庁舎街区活用事業 タワー棟
建築家、村野藤吾により設計され、長年親しまれてきた横浜市の旧市庁舎を保存しつつ改修し、継承して使い続けようという計画で進められている建築です。ここに新しくつくられるタワー棟はオフィスや大学、研究施設などが入る予定とされておりダブルスキンのファサードが特徴です。このビルは、Low-E複層ガラスが全面的に採用され、夏の太陽光を遮るための開口部の工夫などダブルスキンが効果的に採用されるようです。2026年グランドオープンとのことで、最新の省エネ技術により環境負荷低減と快適性の向上に配慮された建物となるでしょう。
新旧2つの事例ですがこれらの建築物は、ダブルスキンの利点を最大限に生かすための独自のデザインや技術が取り入れられています。他にもダブルスキンの手法は多くの建物で見ることができますのでその目的、形態や効果という観点で建物を見てみると面白いかもしれません。
