一般的にグループホームと呼ばれることが多いこの施設は要介護状態の認知症高齢者を対象に小規模で家庭的な生活の場としてつくられ、施設職員により介助を受けながら数名で共同生活をする施設です。
今回は認知症高齢者グループホームのデザインポイントを紹介します。
1.空間の使いやすさ
認知症の症状によっては、物事の認識や移動に困難を抱える場合があります。したがって、明瞭なサインや目印、動線の整備など、利用者が空間を簡単に理解し、自由に移動できるようにすることが重要です。
2.安全性とセキュリティ
認知症の高齢者は、時折混乱し、迷子になる可能性があります。安全な環境を提供するために、扉や窓の施錠方式に配慮し、出入りを管理しやすくする必要があります。また認識しやすい緊急出口の配置、カメラなどのセキュリティシステムの導入を考慮する必要があります。
3.自然光と居心地の良さ
自然光は、健康と幸福感に重要な影響を与えます。グループホームのデザインでは、できるだけ多くの自然光を取り入れるようにし、快適な居住空間を提供するために、適切な照明や快適な温度設定を考慮することが重要です。
4.家庭的な雰囲気とプライバシー
施設内は家庭的な雰囲気をつくりだすこととプライバシー確保の両立が重要です。個別の部屋や居室は広くしすぎないようにし、温かみのある仕上げ材とすることが重要です。また共用の談話室などに休憩スペースを設ける場合はプライバシーを保護するカーテンや間仕切りの導入などを検討することが重要です。
5.共用スペース
利用者の交流のために共用スペースとしてアクティビティルームや庭園、談話スペースなどを設置し、利用者が交流し、心身共に健康で過ごすための空間を設けることが重要です。
グループホームは利用者の有する能力に応じ、自立した生活が営めるよう援助するサービスを提供する施設です。
これらのポイントを考慮しつつ具体的な状況やニーズに合わせて設計することで安心して利用できる施設をつくることができるでしょう。