現存する日本の公立美術館の中でもっとも古い建築をご存じでしょうか。
それは、京都市京セラ美術館です。
そのルーツは、1933年に開館した「大礼記念京都美術館」で、昭和天皇の即位を記念して建てられ、関西の財界や市民の寄付により実現した計画でした。鉄骨鉄筋コンクリートの二階建てのモダンな洋風の外観に和風の屋根を載せた「帝冠様式」と呼ばれるスタイルの建築です。
90年の歴史を持つ最古の公立美術館は、外観のスタイルは踏襲しながら建築家・青木淳と西澤徹夫のリノベーションで生まれ変わりました。
メインエントランスの先のチケットカウンターは、もとは「下足室(クローク)」として使われていた場所でした。そこから大階段を登れば、中央ホールに出ます。天井高16メートルの大空間は、以前は「大陳列室」と呼ばれた展示室で、各展示室につながるハブ空間として大幅に機能転換されました。大空間の中にある象徴的な螺旋階段とバルコニーが心地よい躍動感を生み出しています。
二階は、円形窓やステンドグラス、大理石の壁が残っており、昭和初期の雰囲気を現在に伝えています。リノベーションによって歴史を継承しつつ機能の利便性を向上させた美術館は、今日も京都市民の憩いの場として親しまれています。
