2017年年の瀬の頃、中国人が主宰する深セン(深センは香港の隣の都市です)の建築会議で仕事を頼まれ、私は香港に何度も足を運ぶことになりました。福建省のホテル大規模改修計画でした。途中で頓挫したのは残念でしたが、香港、深セン、そして福建省の旅はとても楽しい時間でした。
私は油麻地の中心地ネイサンストリートにあるホテルがお気に入りでした。九龍島のその界隈は、昔ながらの香港の雰囲気を残しつつも西洋の人種と雑多に交差する都市構造で、NYCと似ていているところが私の好みでした。中国でたくさん仕事をして香港にもスタジオを持てたら良いと当時は淡い夢を持っていました。
当時一緒に行動した香港若手建築家のYさんは香港工科大学出身でした。その大学は激しいデモがあった場所で何度も連日ニュースに登場しました。構内にあるザハ・ハディドの作品を彼が紹介してくれたことは、今となってはとても良い思い出になっています。深センの建築家やデザイナーも福建省まで同行する中でとても親切にナビゲートしてくれました。日本人、香港人、中国人の即席チームで臨んだ福建省への旅は、ニュースで見る香港の混乱からは遠い昔のように思えます。





香港と深センは電車で30分くらいの隣街ですが、その境界はこれまで強い緊張感と繊細なバランスで保たれて来たことが今の関係性を見て知ることができます。その反面、私の思い出はとても穏やかで、建築好きな人間同士の繋がりなのでした。ここで政治的なコメントは避けたいと思いますが、今は香港の平和を心から祈っています。
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