名古屋のブルーノートがコロナウィルスの影響で廃業というニュースが飛び込んできました。とても寂しい気分になりましたが、いつか復活することを祈りたいと思います。
ニューヨークのジャズクラブで有名なブルーノートですが、グリニッジビレッジにある本店の前を私は毎朝通っていました。チェルシーにあるクリストファーStの地下鉄の駅からグリニッジビレッジを通り抜け、ノーホーの事務所までの行き来が私の通勤ルートでした。ブルーノートは知名度とは裏腹に入口がこぢんまりしています。うっかり通り過ぎるほどでもありませんが、通りの景色に馴染んでいてJazzの音源から想像するエレガントな華やかさはありません。ビレッジバンガードもバードランドも同じ印象です。パンクの聖地CBGBも同じでした。ブロンディ、ラモンズ、パティスミス、トーキングヘッズがかつて活躍していた場所で有名ですが、ちょうど私がいた頃にバワリーStにあるクラブが閉店とニュースを聞いてとてもショックだったのを思い出します。(バワリーStはかつて危険な雰囲気の場所でしたが、再開発で一掃され今は綺麗になっています。SANAAのニューミュージーアムで有名ですね。)クラブは消滅しても、音源だけは魂としてずっと生き続けます。今はその音だけを聞いて名古屋の名門ジャズクラブの復活を祈りましょう。
今日はたくさんある私のFavorite BlueNoteの中から二曲紹介します。

一つはホレスパーランのUs Three (1960)です。これはまずアルバムのアートワークが突出しています。リードマイルス作のこのデザインは大胆にざっくりとカットオフされた数字のデザインがジャズ感を醸し出しています。若き日のアンディウォーホルはリードマイルスの事務所に在籍していた時期があるそうです。肝心の音は、ホレスパーランはピアニストでピアノが全体にリードしているのは言うまでもありませんが、この頃の音源では一番ベースが効いていて個人的には好きです。ジャケットだけでなく、音も本当に素晴らしいアルバムです。
もう一つはUS3のCantaloop (1993)。ハービーハンコックの曲をサンプリングされたこの曲は大ヒットしました。ご存知の人も多いと思います。Cantaloopが一曲目に挿入されているHand On the Torchはブルーノート史上一番売れたアルバムだそうです。もちろんUS3の名はホレスパーランのUS Threeから名付けられたものです。実はこのUS3、イギリス出身のヒップホップグレープで、ブルーノートの音源をインディーズに違法使用していたのですが(そもそもヒップホップでは違法使用が頻繁)あまりにカッコが良いので世界に広まり、ブルーノートが使用を後日認めたと言う逸話があります。門外不出の由緒ある音源をリリースした方も偉いと思いますが、あのブルーノートに認めさせたUS3も偉いと思います。タブーをひっくり返すような作品ってそうそうないと思います。
他にもたくさん良い曲があるブルーノートですが、今日は復活を祈りながらこれらの曲を楽しんで下さい。
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