もう少ししたらダウンジャケットは要らなくなる季節になるので、このあたりでいつも考えている断熱や保温のことを書いてみます。
そもそもダウンジャケットのダウンって水鳥の胸の羽のことで、その胸の羽が天然素材で一番保温性が良いとされていて使用されてきたそうです。断熱と保温は読んで字の如く、熱を遮る、熱を保温する、との意味でそれぞれ違います。
ダウンジャケットの保温は水鳥の胸の羽が機能していますが、じゃあ断熱は何で?ということになります。
ダウンジャケットは、ダウン85%、フェザー15%がベストバランスと言われています。一瞬、ダウン100%が最高級?と思ってしまいますが、ダウンはフワフワでとても柔らかく100%だと直ぐにペシャンコになるので、その状態では良好に機能しません。フェザーという骨付きの羽で膨らませてペシャンコになるのを防ぎます。それが空気層をキープする仕組みです。そのベストバランスが、85:15だそうです。お手持ちのダウンジャケットを確かめてみて下さい。
前置きが長くなりましたが、ダウンジャケットの場合、断熱は空気が担っていることになります。そういえば、布団も同じですね。
建築の断熱材も同様でグラスウールなどは空気層をキープして断熱するわけですが、そもそもそのような材料に全てを頼らなくても空気を操れば断熱することって出来るんじゃないかと考えてしまいます。
日本建築の縁側や小屋裏は、実はその空気層で断熱効果を発揮しています。古来日本建築は紙と木だけで建てられて来たわけですが、先人はそのメカニズムを知り尽くし現代人が断熱材の発明をするずっと前から空気を掴んで断熱していたのだと思います。良好な環境を作る為にはどうしたら良いのか知っていたのです。
日本人特有の知性を感じますね。(日本人で良かった~。)
私が設計したTurn,Turn,Turn,は外壁と部屋の間に廊下を配置して、居住空間を空気層で囲む計画にしています。夏にはその部分を無風でも自然に換気ができるような仕組みも作っています。どうにかして、空気を動かせないかと試行錯誤した作品ですが、驚くことに年中通して電気代のピークが1.5万円程度です。(オール電化、総床面積64坪)
普段、全ての性能を建築材料のスペックに頼るのもどうかと思いながらデザインをしていますが、それだけに留まらず、平面計画や構造計画の接点を見つけ出しながら建物のベストバランスを導き出しています。85:15のような。
Turn,Turn,Turn, ちょっとくらいは空気掴めたかな?
それにしても空気の力、恐るべし!!ですね。空気を環境に作用させる、そんなことを想像しながらデザインすると本当にワクワクしてきます。私だけですかね?笑