一昨年のことですが、コンペで勝利したメインスタジアムのザハ・ハディド案を始めて見た時には、建築家の私が見ても一瞬カッコ良いなぁと思いました。しかし、その後の縮小案、色々な論争が起きました。オリンピック招致活動の頃から概ねの方向性は決まっていたのかもしれませんので、私が今ここで地団駄踏んでも何も変わりません。だからと言って、本当にこの状況は良いのか?私は今、その行く末についてはとても気になっています。
本当に8万人収容のスタジアムが永年に渡って埋め尽くされるのか?
今のゴタゴタで、あの縮小案のまま建ててしまって良いのか?
にしてもスケールアウトしたスタジアムは景観を損なうのでは?
新たに巨大な物質的象徴を作って豊かな国を知らしめることが今、本当にクールなのか?
世界中の誰もがあれを見て羨ましいと思うのか?
そもそも8万人もの収容人数、開会式閉会式に必要なのは分かるけど、ロンドンオリンピックのメインスタジアムのように仮設対応で規模縮小できるようにしたら良かったのではないか?
高度成長期、東京オリンピックに建てられてこれまでの歴史を築いてきた国立競技場は壊されることになったが、本当にそれで良かったのか?
既存のメインスタジアムは残して新しく大掛かりで、今までに無い新しい改修工事なんてできなかったのだろうか?
1964年当時と同じ姿、場所で新しい技術で開会式を行うことのほうが今までに無い感慨深いオリンピックの姿を示せたのではないか?
そして、なんと言っても、東日本大震災の復興途中、国立競技場としての姿があれが本当に適正なのか?
そして、あの建物の姿が東北の人々に、また他の国民にどう映るのか?
高度経済成長、バブル、長い不況を経験し、国際的にも成熟したと認められている日本人として、大人びた次世代のクールジャパンを知らしめるチャンスだったのではないか?
煌びやかな外観を作るよりも、巨大壁面に写されたプロジェクションマッピングの映像で美しく感動的な演出はできるよね?
しかしながら、いっぱいハテナを言ってしまった。ゴメンなさい。
私以外の建築家、また専門家以外のみなさん、たくさんの人がそう思っているはず??です。